供養

供養とは、ご先祖さまや死者に対してお供え物をしたり、冥福を祈るすべての行為のことをいいます。仏壇に対して手を合わせたり、お盆やお彼岸にお墓参りに行くことで供養を行い、毎日元気に生きていけることへの感謝の気持ちをお伝えします。現代では様々な供養の方法があります。

お墓

平安時代の仏教伝来とともに日本にもたらされ、江戸時代の檀家制度により先祖供養が定着し、家単位でのお墓が建てられるようになりました。お墓参りは伝統的な供養の方法ですが、近年は跡継ぎ問題の発生による家単位でないお墓や永代供養の形式など、お墓も変化しています。

海洋散骨

海洋散骨とは、遺骨を粉末状にして生き物のルーツとなる海にまく供養の形です。海洋散骨を行える場所は自治体によって定められており、法律に触れないよう散骨業者に依頼する必要があり、勝手に行ってはいけません。費用は安く済むことや、自分の死後お墓の問題で迷惑をかけたくないという希望があることから、近年海洋散骨が増加しています。

樹木葬

樹木葬とは、一般的な墓石ではなく樹木や花を墓標としてお骨を埋葬する供養の形です。埋葬地点に低木を植える植樹型、大木を墓標と見立てるメインツリー型、埋葬地に杭やプレートを置く墓標型などがあります。永代供養のものだけでなく、一般的なお墓のように後継者が必要になるタイプもあります。近年人気が高まり、観光客が少なく豊かな美しい自然のある場所での開発が進んでいます。

手元供養

手元供養とは、遺骨を少し取り分けて形見として身近に置いておく供養の形です。用途によって納骨型(ミニ骨壺、フォトスタンド、オブジェなど)、ペンダント型(ペンダント、ブレスレット、指輪など)の手元供養品があります。また、遺骨そのものをプレートやダイヤモンドに加工する方法もあり、近年注目されています。

お墓

墓地の種類

公営墓地

都道府県や市町村などの自治体や公共団体が運営する墓地です。公営であるため費用が安価であることが多く、また宗旨宗派を問わずに利用することができますが、公営墓地の数が足りていない地域が多く、条件を厳しくしたり抽選になるなど、競争率が高いです。その市町村に住民票があるか、今現在遺骨を持っているかなどの条件がついている場合があります。また、墓地全体の景観を守るという観点から、石碑や墓石の形に制約が設けられている場合もあり、自由度は民営墓地と比べて少ない傾向にあります。

民営墓地

公益法人や宗教法人、民間企業などが運営する墓地です。公営墓地に入れない人の受け皿として建てられたのが始まりです。宗旨宗派を問わずに利用することができ、条件も厳しくないところが多いです。また、水場や休憩施設が用意されていたり、サービスが充実しているところもあります。ただし、公営墓地より費用は高めになります。

寺院墓地

寺院が運営する墓地です。寺院が直接管理するため、供養や掃除も行き届いており、安心して任せることができます。基本的に寺院墓地を建てる場合、そのお寺の檀家になる必要があるため、宗旨宗派を超えてお墓を建てることは難しくなります。檀家になるということはその寺院の信徒になるということであり、施設に修繕が必要な時には寄付をするなど、お寺とのお付き合いも必要となっていきます。費用は公営墓地より安いところから非常に高価なところまで様々です。

永代供養墓

永代供養墓とは、お寺や霊園がお墓の管理・供養を代行する、後継者を必要としないお墓です。大きく分けて納骨堂形式のものと、合祀墓形式のものがあります。

納骨堂

納骨堂とは、遺骨を骨壺に入った状態で安置しておく建物のことです。ちょうど墓地を一軒家とすると、納骨堂はマンションのような形態になります。ロッカー式と自動搬送式の2種類があります。永代使用料を払ってお墓を建てる必要がないため、一般的な墓地に比べて費用を抑えることができます。一定期間供養した後、三十三回忌、五十回忌などのタイミングで合祀になることが多いです。

合祀墓

複数のお骨を一緒に埋葬するお墓です。一度納骨すると、他の人のお骨と混ざってしまうため、遺骨を取り出すことはできなくなります。費用は納骨堂よりも安くなりますが、一部高価なところは骨壺単位で埋葬し、他の人のお骨と混ざらない方式を採用しているところもあります。

改葬

遠方の故郷にあるお墓を近くに移動させたり、無縁墓にならないようにするため、お墓を移すことを改葬といいます。パターンとして、墓石と遺骨を移す、遺骨のみ移す、遺骨の一部のみ移すなどがあります。

改葬の手順

お墓の管理者に改葬の相談
トラブルを避けるため、早めに相談します。檀家を抜ける場合の離檀料、墓じまいの閉眼供養などについて話し合います。
新しい墓所を決定、「受入証明書」の発行
新しい墓の管理者から「受入証明書」を発行してもらいます。
「改葬許可申請書」の作成
用紙を市町村窓口やホームページなどで入手し、現在のお墓の管理者から署名捺印をもらいます。別途管理者から「埋蔵・収蔵証明書」を発行してもらう必要がある自治体もあります。
「改葬許可証」の交付
申請書と受入証明書を自治体に提出し、「改葬許可証」を発行してもらいます。
遺骨の取出し
「閉眼供養」や「魂抜き」を行い、遺骨を取り出します。その後、墓石を撤去し更地に戻します。
納骨
新しい墓所に改葬許可証を提出して「開眼供養」「魂入れ」を行い、納骨します。

改葬には正しい手順が必要ですが、特に檀家を抜ける場合など、これまでお墓を管理していただいた管理者との信頼関係が大切となります。早めに相談し、理由を説明して改葬の許可をいただくようにします。