養子縁組した子の相続

養子縁組とは

民法第809条(嫡出子の身分の取得)
養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。

養子縁組とは、血縁に関係なく親子関係を発生させることを言います。養子は、縁組の届出の日から嫡出子となります。嫡出子とは婚姻している父母から生まれた子のことを言います。つまり、養子縁組をすると、実子と変わらない立場の子となります。養子縁組には普通養子縁組と特別養子縁組の2種類があります。

普通養子縁組

普通養子縁組とは、実の親との親子関係は継続したまま、新たな親子関係を発生させる養子縁組です。一般的に養子縁組と呼ばれる場合はこの普通養子縁組のことを指します。養親との法律上の親子関係が成立しますが、実親との親子関係が解消されるわけではありません。そのため、養子は養親が死亡した場合にも実親が死亡した場合にも法定相続人となります。

(普通養子縁組の要件)

・養子が養親よりも年下であること
・養親が20歳以上、もしくは結婚歴があること
・養子が養親の叔父や叔母といった尊属でないこと
・養親となる人が養子となる人の養親となる意思があること
・養子となる人が養親となる人の養子となる意思があること
・後見人が被後見人を養子にする場合は家庭裁判所の許可を得ていること
・結婚している人が未成年者を養子にする場合は夫婦共に養親になること
・養親や養子となる人が結婚している場合は配偶者の同意を得ること
・養子となる人が未成年者の場合は家庭裁判所の許可を得ていること

特別養子縁組

特別養子縁組とは、実親の監護が困難または不適当であるような6歳未満の子と新たな親子関係を発生させる養子縁組であり、子供の福祉の増進を目的としています。特別養子縁組が成立すると、子と実親の法律上の親子関係は消滅します。そのため、養子は養親が死亡した場合には法定相続人となりますが、実親が死亡した場合には法定相続人にはなりません。

(特別養子縁組の要件)

・実親の同意があること
・夫婦共に養親になること
・養子が6歳未満であること
・養親のうち少なくとも一人が25歳以上で、もう一人が20歳以上であること
・実親の監護が困難または不適当であり子のために特別養子縁組が必要であること
・特別養子縁組を請求して6ヵ月経過し、家庭裁判所に認められること

養子の代襲相続

代襲相続とは、例えば子が親よりも先に亡くなっていて、その子に孫がいる場合など、法定相続人が既に亡くなっている場合、その法定相続人の代わりに相続することを言います。養子については、養子に子供がおり、養子が既に亡くなっている状況で養親が亡くなった場合、養子の子供が代襲相続人になるかどうかは養子の子供の出生が養子縁組の先か後かで異なります。

養子縁組の前に養子の子供が生まれていた場合、養子の子供は代襲相続人になりません。養子縁組時の連れ子は代襲相続人とならないということになります。これに対して、養子縁組の後に養子の子供が生まれていた場合、養子の子供は代襲相続人になります。

少し複雑ですが、法定相続人が誰になるのかを判断する場合に必要な知識となります。

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