地域包括ケアシステムとは
地域包括ケアシステムは、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(医療介護総合確保促進法)に次のように定義されています。
医療介護総合確保促進法 第二条(定義)
この法律において「地域包括ケアシステム」とは、地域の実情に応じて、高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制をいう。
厚生労働省では、団塊の世代と呼ばれる75歳以上の後期高齢者となる2025年を目途に、それぞれの地域で、地域の実情に合った医療・介護・住まい・生活支援・介護予防が一体的に確保される体制の構築を目指し、地域の包括的な支援・サービス提供体制の構築を推進しています。このように、それぞれの地域の実情に合った医療・介護・予防・住まい・生活支援が確保される体制を構築することが、「地域包括ケアシステム」と呼ばれているものです。地域包括ケアシステムは、おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(具体的には中学校区)を単位として想定されています。
厚生労働省の資料より引用した上記の図は、「住まい」を「医療」、「介護」、「生活支援・介護予防」が取り囲む体制となっています。そしてよく見ると、「医療」の病院と、「介護」の施設・居住系サービスは少し後ろに下がっています。これは政府が「在宅による医療・介護の提供」を推進しているためです。高齢化の急速な進展による入所施設の不足、増大化し続ける社会保障給付費の抑制のため、「施設から在宅へ」「病院から自宅へ」といった政策を進めています。政府が目指すその中心的政策となっているのが、自宅を含めた住み慣れた地域で最期まで暮らせるよう、介護スタッフ、医師、看護師が連携しながら訪問する地域包括ケアシステムです。人生の最期自宅で迎えたいという方も多く、高齢者の希望に添える体制とも言えます。
他業種協働
地域包括ケアシステムを構成する要素にもう一つ「生活支援・介護予防」があります。
今後は「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」により、市町村が主体となってサービス体制を構築していくものと思われますが、市町村はあくまで体制の構築とバックアップです。事業主体は民間企業、NPO法人、協同組合、社会福祉法人、ボランティア等となっています。医療従事者や介護従事者だけではありません。地域包括ケアシステムの担い手は地域住民であるとともに、地域の様々な業種の事業者が一体となって担っている、つまり「多業種協働」であることがわかります。私たち士業も含め、多くの事業者が地域コミュニティーの中で協働し、地域包括ケアシステムの一端を担っています。超高齢化社会を迎える中で豊かな社会を作っていくためには、皆で地域を作っていくという発想を皆が持つことが重要なのだろうと思います。