令和元年度に携わらせていただきました長野市包括外部監査ですが、、介護・介護予防というテーマと関連する項目について措置状況が公開されていましたのでご紹介させていただきます。
はいかい高齢者家族支援サービス助成事業 事業目的のための手段について【意見】(報告書217 ページ)
はいかい高齢者家族支援サービス助成事業の認定件数は以下の通りである。
H.25年度 | H.26年度 | H.27年度 | H.28年度 | H.29年度 | H.30年度 | |
認定件数 | 22件 | 23件 | 29件 | 28件 | 23件 | 33件 |
介護保険認定調査結果によると、平成 30 年度認知症高齢者は 12,815 人であり、はいかい行動が見られる人数は正確には不明だが、それでも数字は低迷しているように見える。より積極的な周知活動が求められるが、普及率が上がらない理由として、GPS による位置情報検索サービスは GPS 機器をはいかい高齢者が持って出かけないと効果がなく、携帯させるための工夫等、有効に利用するための対策が必要なことも挙げている。現在、別の方策として、所持品や洋服などにあらかじめ QR コードを印刷したタグやシールを付けておき、高齢者がはいかいした場合に、発見者等が、QR コードを読み取ると捜索を依頼した家族に通報される仕組みの検討も行っている。ただこれも、発見者が QRコードを読み取らないと効果がないという。
決定的な手段がないのであれば、玄関への人感センサーの設置を推奨するなど、二重三重の手段を検討する必要がある。QR コードについては、地域住民への周知は必要であるが、外回りの多い事業者の協力事業である見守り SOS ネット事業の参加事業者が認知しているだけでも、一定の効果は見込めると思われる。はいかい対策に地域住民の協力は不可欠であり、機器による見守りと同時に、地域による見守りを啓発していくことも重要となる。はいかい高齢者の迅速な保護と介護者の負担軽減という事業目的は非常に必要性が高く、有益である。GPS 端末による位置情報検索サービスと合わせて、QR コードその他の方策も取り入れるべきであり、事業目的達成のため更なる周知、啓発を図っていくことが望まれる。
措置状況(令和2年7月30日)
現在の助成対象以外の民間サービスについても研究し、はいかい高齢者家族を支援する、十分な効果が期待できる場合には、助成対象とすることを検討したい。(地域包括ケア推進課)
コメント
認知症のはいかい高齢者を捜索するためのGPS機能付端末の購入及び維持経費の一部を助成する事業についての監査でした。認知症高齢者のはいかいは、本人の命に関わる危険性があるだけでなく、多くの人を巻き込む大事故にもなりかねません。対策の1つにGPS端末があり、時計型や靴型などがあります。しかし、GPS端末は高齢者が持って出ないと効果がなく、決定的な対策とはなっていないとのことでした。とはいえ、GPSが有効に機能する場面もあるはずですから、現状はいくつかの手段を組み合わせることが有効なのではと思います。はいかい対策には他にもセンサーなどがあり、最近は顔認証によるシステムもあるそうです。措置状況の通り、新たな有効な民間サービスを素早く助成対象にしていただければ、助成金を利用する介護者も増えるのではと思います。