通いの場
「通いの場」とは、地域住民が定期的に集まり、お茶やお菓子を飲食したり、囲碁や将棋、お料理などを楽しむ場です。あくまで住民の自主的な取り組みではありますが、介護予防にも効果があることから、各自治体が積極的に通いの場の立ち上げをサポートしています。とりわけ介護予防に効果が高いとされているのが、軽い運動や体操教室です。自治体によっては、各地域の体操教室に定期的にインストラクターを派遣したり、インストラクターを養成する取り組みを行っています。
「通いの場」は、介護予防としてだけでなく、地域住民による見守りの効果や、参加する高齢者の生きがいにもつながる、さまざまな効果をもたらす取り組みです。介護保険の適用外であありますが、費用もほとんどの場合1回数百円程度であり、近年は社会参加意識の高まりから、ボランティアで講師やスタッフとして協力する方も増えています。今後、ますます身近で充実した通いの場となっていくと思われます。
介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)
総合事業とは、これまで介護保険内で行われていた「介護予防サービス事業」(主に訪問型サービス、通所型サービス)を介護保険から切り離し、それぞれの地域に密着した介護保険外のサービスに移行させ、各自治体が主体となって管理・提供していくことを目的としたものです。2015年の法改正により段階的に移行し、現在ではすべての市町村が総合事業へ移行しました。総合事業は「介護予防・生活支援サービス事業」と「一般介護予防事業」に分かれています。
対象者
「介護予防・生活支援サービス事業」を利用できる対象者は、
- 要支援者
- 基本チェックリスト該当者(介護予防・生活支援サービス事業対象者)
となります。2の「基本チェックリスト」とは、高齢者が自身で生活機能に低下があるかどうかをチェックする質問リストのことです。要介護認定を受けなくても、総合事業の利用を希望する65歳以上の高齢者であればすぐに受けることができます。
「一般介護予防事業」の対象者は、地域に住む65歳以上のすべての高齢者です。
内容
総合事業は、サービスの運営基準や単価、利用料などは各市区町村が独自に設定することができます。よって、提供されるサービスは各自治体によって異なります。総合事業移行時のガイドラインとして、厚生労働省が示した内容は以下の通りです。
これを受けて、各自治体が独自にサービスを設定しています。例として、令和2年度長野市の総合事業は以下のようなサービスとなっています。
総合事業の内容(例:長野市)
1.介護予防・生活支援サービス事業
- 訪問型サービス
- 訪問型短期集中予防サービス(保健・医療の専門職が3カ月の短期間、 訪問等にて生活行為の向上に関する課題について相談・指導などを 行う。)
- 介護予防訪問介護相当サービス(自力では困難な行為があっ て、家族の支援、地域の支え合い、支援サービスなどが利用できない場合の訪問介護員によるサービス)
- 訪問型基準緩和サービス(身のまわりのことは自力でできるが困難な家事等があり、家族の支援、地域の支え合い、支援サービスなどが利用でき ない場合の訪問介護員によ るサービス)
- 通所型サービス
- 介護予防通所介護相当サービス(デイサービスセンターへ日帰りで通う( 送迎してもらう)、食事・入浴などの日常生活上の支援や、生活機能の維持・ 向上のための機能訓練などのサービス)
- 通所型基準緩和サービス(「活動」や「参加」 の改善、介護予防を 目的にデイサービスセンター等へ日帰りで通い( 送迎してもらい)、体操や踊り 、も のづくり、音楽演奏などのレクリエーション活動に参加するサービス)
- 住民主体サービス(訪問型・通所型)
2.一般介護予防事業
- 介護予防クラブ活動支援事業「はつらつ倶楽部体験講座」
- 専門職派遣アドバイス事業
- 訪問リハビリ相談
- 訪問栄養相談
- 訪問歯科相談
- 介護予防普及啓発事業
- 介護予防あれこれ講座
- 介護予防教室
- フレイル予防の相談会
サービス利用の流れ
総合事業のサービスを受けるための手順は次のとおりです。
STEP1 市区町村の相談窓口または地域包括支援センターで、総合事業のサービス利用または要介護認定の必要性を相談する
STEP2 基本チェックリストで心身の状況を確認する
※基本チェックリストの結果によっては要介護認定の申請を検討する。40~64歳までの第2号被保険者が総合事業を利用する場合は、要介護認定が必要
STEP3 介護予防・生活支援サービス事業対象者となる
※非該当者は、65歳以上のだれでも利用できる「一般介護予防事業」のサービスの利用が可能
STEP4 地域包括支援センターにケアプランを作成してもらう
STEP5 総合事業の利用を開始する